「最近、なんだか疲れやすい」

「何もしてないのに頭が重い」

そんな声を、ここ数年で驚くほど多く聞くようになりました。

けれどこれは単なる個人の問題じゃありません。 社会の構造そのものが、人の神経と脳を休ませない仕組みに変わってきているんです。

経済の停滞、共働きの増加。家事・育児・仕事が同時進行する生活の中で、子どもにタブレットを渡して静かにさせる。

その結果、発達や集中力に影響を及ぼすという研究も出てきています。

これはつまり、社会全体が「常に刺激を求める脳」に変化しているということ。そしてその副作用を、僕たちは毎日「疲れ」として受け取っているのです。

② 思考停止する脳と、固まっていく身体

SNS、動画、通知、情報。一瞬のうちに喜びも怒りも手に入る現代は、脳にとって“報酬の洪水”です。

しかし、報酬系が過剰に刺激されるほど、 「待つ」「積み重ねる」「静かに感じる」力が鈍っていきます。

実際、現代人の多くは何かを考える前に、体が反応しない。思考停止というより、身体停止の状態です。

肩は前に入り、首はこり、目の奥が重たい。体のセンサーが鈍ると、心も感じなくなります。「疲れてる」と認識できるうちはまだ良い。

それすら感じなくなったとき、人は壊れていく。

③ “心を変える”より、“体を緩める”

多くの人は「メンタルを整えよう」とします。でも、乱れた自律神経を意志で整えるのは難しい。

なぜなら、心の状態は、筋肉と神経の緊張パターンに強く依存しているからです。

ルート治療の現場では、慢性的なコリが取れるたびに「気持ちが軽くなった」と言われます。それは偶然じゃありません。筋肉がゆるむと、神経伝達が正常化し、脳が“安全”を感じ取るからです。

つまり、感情の変化は、体の解放の結果として起きる。思考より先に、身体から変えること。それが、今の時代に最も現実的なアプローチです。

④ 体を取り戻すという、生き方

努力が続かない。集中できない。イライラする。

これらを「性格」や「根性」で片づけるのは超時代遅れ。

神経が緊張しっぱなしの体では、努力も、継続も、優しさも、発揮されない。

現代人に必要なのは、頑張ることではなく、感じることを取り戻す勇気です。外の刺激ではなく、内側の感覚を取り戻す。それが本当の意味での「整う」ということ。